リュウジンオオムカデ

Scolopendra alcyona

和名:リュウジンオオムカデ
中国語名:琉神蜈蚣
英語名:Halcyon Giant Centipede
原産地:沖縄島北部、石垣島、西表島、久米島、渡嘉敷島、台湾

本種は2021年4月に新種として記載されたもので(参考資料)、世界で3例目の半水棲性ムカデとして知られています。渓流環境に生息し、危険を感じると水中に潜ることがあり、テナガエビを捕食している様子も観察されています。

種小名の alcyona は、ギリシャ神話の風の神の娘アルキュオネー(Alcyone)に由来します。彼女は結婚後に幸せな生活を送りながらも、自らをゼウスとヘラになぞらえたことで神々の怒りを買い、カワセミに変えられたとされます。本種の歩脚の多くは青色を呈し、その姿がカワセミを連想させることから名付けられました。

また、和名の「琉神大百足」は琉球王国の神話に由来しています。あるとき、海上で暴れる龍神の耳にムカデが入り込み、激痛に苦しみながらもどうすることもできませんでした。そこへ鶏が現れ、ムカデをあっさりと食べてしまいました。この出来事以来、龍神はムカデと鶏を恐れるようになり、琉球王国時代の船には航海の安全を祈って、ムカデ旗や鶏の図を掲げる風習がありました。この話に登場するのは「龍神」ですが、日本語では「龍(リュウ)」と「琉(リュウ)」が同音であるため、漢字に「琉神」が使われています。

2025/1/18 国頭村
沖縄県立博物館蔵の「進貢船之図」では、中央の黄色い旗がムカデ旗として描かれています。
2023/4/14 大宜味村
死亡個体
2024/5/31 国頭村(撮影:Aster Lin)