ハブ

Protobothrops flavoviridis 和名:ハブ中国語名:波布、黄綠龜殻花英語名:Habu原産:沖縄群島および奄美群島の一部の島に分布 ハブは日本で最も美しく魅力的でありながら、最も毒性が強く危険なヘビです。沖縄群島および奄美群島の一部の島に分布しており、その分布は海面上昇や島の隔離の影響を受けている可能性があります。 ハブは夜行性で、森林から農地まで幅広い環境で活動し、時にはネズミを捕食するために住宅地に現れることもあります。沖縄では、農作業中にハブに咬まれる事故が昔から頻繁に発生し、命を落とすこともあったため、人々はハブに対して強い恐怖心を抱いています。そのため、多くの地元の人々はハブを見つけると必ず殺そうとし、現在でも行政によるハブ駆除が行われています。その結果、ハブの個体数は大幅に減少し、やんばるでは珍しい存在となっています。しかし、ハブは森林における頂点捕食者として生態系の維持に重要な役割を果たしており、過度な駆除によって絶滅しないことを願っています。 ハブの体色や模様には地域ごとの違いがあり、久米島産のハブには、一部に直線的な模様を持つ個体がいる。一方、奄美群島(奄美大島と徳之島)のハブは、全体的に赤みがかっており、大きめの斑紋があるのが特徴的である。 この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 この投稿をInstagramで見る Yambaru Nature Guide Wanyu(@yambaru_wanyu)がシェアした投稿

ヒメハブ

姬波布

Ovophis okinavensis 和名:ヒメハブ中国語名:姬波布、沖繩烙鐵頭英語名:Okinawa pitviper, Himehabu原産地:沖縄群島(沖縄島、伊平屋島、伊江島、久米島、渡嘉敷島)、奄美群島(奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島) ヒメハブの最大体長は80cmでハブよりも小型であることからこの名前がつけられました。しかし、実際にはハブとは別の属に分類されており、台湾のOvophis makazayazayaと同じヤマバフ属(Ovophis)に属します。ヒメハブの交尾個体を見ると、オスとメスの成熟個体の体格差が大きいことが分かります。 ヒメハブは毒蛇ですが、その毒性は比較的弱く、致命的ではありません。しかし、噛まれた場合はすぐに医療機関を受診する必要があります。ヒメハブの体色は落ち葉や森林の地表とよく似ており、また地面にじっとしていることが多いため、注意していないと見落としやすいです。 ヒメハブはカエル類を好んで捕食します。他のヘビの多くは冬季に活動が鈍くなりますが、ヒメハブは冬季のカエル類の繁殖地で獲物を狙い、冷たい渓流の中に入ることさえあります。冬から春にかけて、リュウキュウアカガエル、リュウキュウカジカガエル、オキナワアオガエル、ハロウェルアマガエルの繁殖期には、ヒメハブをよく見かけます。ただし、ヒメハブはオキナワシリケンイモリを食べないようで、近くにイモリがいても無関心な様子が多いです。 この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 この生き物を観察したい場合は… 10月~5月の両生爬虫類ツアーへの参加をおすすめします!

アカマタ

琉球紅斑蛇

Lycondon semicarinatum 和名:アカマタ中国語名:琉球紅斑蛇英語名:Ryukyu odd-tooth snake原産地:奄美群島、沖縄群島 アカマタは無毒のヘビで、最大170cmほどに成長しますが、特に幼蛇は攻撃的です。アカマタはやんばるで最もよく見られるヘビの一種であり、時には道路に現れ、ロードキルされたカエルを食べている最中に二次的なロードキルに遭うこともあります。食性は幅広く、カエル、トカゲ、ヘビのほか、時には孵化直後のウミガメの幼体を捕食することもあります。 アカマタは沖縄の民話にも登場する重要な存在です。沖縄では、旧暦3月3日に女性が海辺で身を清める「浜下り(ハマウリ)」という伝統行事があります。その由来の一つとされる伝説では、アカマタ(沖縄方言:アカマター)が美男子に化け、若い娘を誘惑しました。娘はその美男子の子を身ごもりますが、母親がその男の正体を尋ねると、娘は答えられませんでした。不審に思った母親は、娘に夜中に縫い針で男の衣服に糸を縫い付けました。翌朝、男の姿は消え、糸をたどると山の洞窟へと続いていました。そこには、一匹のアカマターが潜んでいたのです。ユタ(神職者)の助言により、娘は3月3日に海へ行き、波打ち際で身を清めると、蛇の子は流されていきました。この伝説は多くのバリエーションが存在しますが、浜下りの行事は現代まで続いています。 アカマタが集まっていました(繁殖行動?) この投稿をInstagramで見る Yambaru Nature Guide Wanyu(@yambaru_wanyu)がシェアした投稿 アカマタオス同士の戦い(combat dance) この投稿をInstagramで見る Yambaru Nature Guide Wanyu(@yambaru_wanyu)がシェアした投稿 この生き物を観察したい場合は… 3月~10月両生爬虫類ツアーへの参加をおすすめします!

オキナワイボイモリ

Echinotriton andersoni 和名:オキナワイボイモリ中国語名:沖繩棘螈英語名:Okinawa Spiny Newt原産地:沖縄島、渡嘉敷島 本種は沖縄県の県指定天然記念物であり、イモリ科の中で最も原始的な形態を持つ種の一つです。そのため、「生きた化石」とも呼ばれています。体の両側に肋骨が突出しているため、この名前が付けられました。個体数が少なく、密猟の危険もあります。 過去には「イボイモリ」と呼ばれていましたが、奄美大島と徳之島の個体群が新種 Echinotriton raffaellii(2022年)として独立したため、両種を区別するために、沖縄島のイボイモリは「オキナワイボイモリ」、奄美大島と徳之島の個体群は「アマミイボイモリ」と和名を変更しました。 参考資料:論文著者のウェブサイト 繁殖期に集まるオキナワイボイモリ この投稿をInstagramで見る Yanbaru Nature Guide Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 オキナワイボイモリミミズを食べる様子 この投稿をInstagramで見る Yanbaru Nature Guide Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 この生き物を観察したい場合は… 1~2月の「両生爬虫類ツアー」への参加をおすすめします! ※ 観察時の注意事項:イボイモリは光に非常に敏感です。希少な動物を保護するため、撮影時の強い光源は控え、動物の正面(目の方向)ではなく、上方からの光源を使用してください。撮影はできるだけ短時間で済ませるようにしましょう。

シリケンイモリ

劍尾蠑螈

Cynops ensicauda 和名:シリケンイモリ中国語名:劍尾蠑螈英語名:Sword-tail Newt原産:沖縄諸島、奄美諸島 シリケンイモリの種小名「ensicauda」は、剣(ensis)と尾(cauda)を意味しています。本種は沖縄諸島と奄美諸島に分布し、異なる亜種が存在しますが、沖縄諸島と奄美大島の間にある徳之島には分布していません。 シリケンイモリは通常、静水域や流れが穏やかな浅い水たまりで見られますが、陸上でも活動し、特に雨後には道路に現れやすく、ロードキルの被害を受けやすい種です。冬に繁殖期を迎え、雄は尾をS字に振って求愛し、雌は雄の精莢を受け取り、水生植物の葉の間に産卵します。 オキナワシリケンイモリ(Cynops ensicauda popei): オキナワシリケンイモリは阿嘉島、沖縄島、慶留間島、瀬底島、渡嘉敷島、渡名喜島、浜比嘉島に分布しています。無地の黒い個体の他に、約70%の個体に多少の黄色斑(金箔)が見られ、奄美亜種よりも高い割合で見られます。 雄が尾をS字に振り求愛行動を示す この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 沖縄樹蛙の卵を食す この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 水草の間に産卵 この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 ヤゴが捕らえたオタマジャクシを奪う この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 アマミシリケンイモリ(Cynops ensicauda ensicauda): アマミシリケンイモリは奄美大島、請島、加計呂麻島、与路島に分布しています。体色は単色のものが多く、一部に背面に赤色の縦線があり、稀に金色の斑点もありますが、沖縄亜種に比べて小さく、まるで金粉のようです。また、奄美亜種の背中の縦線は沖縄亜種と比べて目立ちます。

キノボリトカゲ

Diploderma polygonatum 和名:キノボリトカゲ中国語名:琉球龍蜥英語名:Ryukyu Tree Lizard原産:原名亜種は奄美群島、沖縄諸島、先島亜種は宮古諸島、八重山諸島、与那国亜種は与那国島 キノボリトカゲは、以前はJapalura属(南アジアに分布するキノボリトカゲ属)に分類されていましたが、2018年の研究でDiploderma属に変更されました。 参考資料:攀木蜥蜴學名的重大修訂 キノボリトカゲは複数の亜種を含み、台湾のキグチキノボリトカゲもその一つです。 オキナワキノボリトカゲ(Diploderma polygonatum polygonatum): 分布:沖縄諸島、奄美諸島。雄は全長約25㎝、雌は約20㎝で、雄には鮮やかな青緑色の個体が多く見られます。沖縄でよく観察され、本土でも飼育後に放逐されたものが愛知県浜松市で発見されています(2023年)。 参考資料: サキシマキノボリトカゲ(Diploderma polygonatum ishigakiense): 分布:宮古諸島および八重山諸島の石垣島、西表島、小浜島。雄は全長約20㎝、雌は約17㎝で、体色は褐色が主体。宮古島では外来種である二ホンイタチ(Mustela itatsi)による捕食で数が減少しています。 ヨナグニキノボリトカゲ(Diploderma polygonatum donan): 分布:与那国島にのみ生息。雄の体に白斑があり、雌には緑色の鱗が特徴。与那国キノボリトカゲの口腔内は肉色です。

アオカナヘビ

Takydromus smaragdinus 和名:アオカナヘビ中国語名:翡翠草蜥英語名:Green grass lizard原産:宝島と小宝島、奄美大島、喜界島、徳之島、沖縄群島、久米島 本種は中琉球の一部の島々に分布しており、雄は緑色または褐色で、体側に褐色の縦帯があり、腹部は黄色がかった色をしています。雌は黄緑色で体側に褐色の縦帯はなく、腹部は白っぽい色です。雌雄どちらも腹側に白線を持つ場合がありますが、特定の地域の個体群では雄のみに白線が見られることもあります。かつてはよく見られた種ですが、近年の農業における農薬の大量使用により、個体数が減少し、頻繁に見られなくなっています。

リュウキュウアブラゼミ

Graptopsaltria bimaculata 和名:リュウキュウアブラゼミ中国語名:琉球油蟬英語名:Graptopsaltria bimaculata原産:沖縄島及び周辺の離島、奄美大島、加計呂麻島、徳之島 参考資料:《沖縄のセミ》新星出版 日本の屋久島以北には別のアブラゼミ (G. nigrofuscata) が分布しており、リュウキュウアブラゼミは奄美諸島や沖縄諸島などの中琉球の特有種です。沖縄諸島と奄美諸島の個体群には模様に若干の違いがあります。 リュウキュウアブラゼミは、沖縄島のセミの中で最も識別しやすい種であり、茶色の翅を持つセミを沖縄島で見かけたら、それは間違いなくリュウキュウアブラゼミです。他のセミは透明な翅を持っています。 6月上旬から10月にかけて、その鳴き声を聞くことができ、鳴き声は「カチカチカチ——チー」といった感じで、最後に引き伸ばされる音が特徴です。この音が鍋をこすり洗いする音に似ているため、沖縄の方言では「ナービーカチカチ」と呼ばれています。ナービーは鍋を意味します。 琉球大学博物館【風樹館】:鳴き声 220909 リュウキュウアブラゼミの羽化 リュウキュウアブラゼミが羽化した直後の翅の色は白ですが、時間が経つと茶色に変わります。今回はその変化を待つことができず、翅が茶色になるのにどれくらいの時間がかかるのか分かりませんでした。 また、リュウキュウアブラゼミの蝉の抜け殻の腹部末端が丸くなっている部分が大きい場合、これはオスを意味します。メスであれば産卵管があるため、この丸い部分は小さく見えます。