ヤエヤマヒメアマガエル

Microhyla kuramotoi 和名:ヤエヤマヒメアマガエル中国語名:八重山姬蛙英語名:Yaeyama Narrow-mouthed Toad原産地:八重山諸島 ヤエヤマヒメアマガエルは、かつて沖縄諸島に分布するオキナワヒメアマガエル(Microhyla okinavensis)と同種と考えられていましたが、2020年の系統解析により、八重山諸島の個体群は独立種 Microhyla kuramotoi として記載されました。本種は通常、春から夏(3~8月)にかけて繁殖し、側溝の貯水部分など静かな水たまりでオタマジャクシがよく見られます。なお、『沖縄のカエル』では、冬季にも繁殖することがあると記載されています。 参考資料:Matsui, Masafumi, and Atsushi Tominaga. “Distinct Species Status of a Microhyla from the Yaeyama Group of the Southern Ryukyus, Japan (Amphibia, Anura, Microhylidae).” Current Herpetology, vol. 39, no. 2, Aug. 2020, pp. 120–136. doi:10.5358/hsj.39.120

ヤエヤマヤシ

Satakentia liukiuensis 和名:ヤエヤマヤシ中国語名:八重山椰子英語名:Yaeyama Palm原産地:石垣島、西表島 本種は樹高25メートルにもなるヤシの仲間で、1属1種の稀少な植物です。八重山諸島の固有種で、天然の群生地は現在3か所のみ確認されていますが、沖縄県内では街路樹として各地に植栽されており、国際通りに並ぶヤシの木も本種です。 石垣島の「米原ヤエヤマヤシ群落」では、天然の群落を観察することができます。

イジュ

Schima wallichii ssp.  和名:イジュ中国語名:西南木荷、紅木荷英語名:Okinawa needlewood tree原産地:東南アジアに広く分布し、日本では琉球列島と小笠原諸島に分布。 イジュは、日本では琉球列島と小笠原諸島に自生していますが、それぞれに形態の違いがあり、琉球列島の個体群を別亜種とする見解もあります。ただし、現在のところ正式な分類は定まっていません。 イジュは琉球列島の非石灰岩地帯の森林における代表的な高木種の一つで、特に梅雨の5月頃になると、真っ白な花が一斉に咲き誇り、森を明るく彩ります。イジュの花はとても美しく、観察シーズンには目を引きます。 樹皮にはサポニンが含まれており、かつて沖縄では、この樹皮を粉末にして魚毒として利用した歴史もあります。また、焼いて得られる灰は、沖縄そばの製麺時に使う「草木灰」として利用されていました。 2〜3月には新芽が赤く染まり、この時期は他の木と容易に区別できます。一方、夏に花も新芽もない時期には、鋸歯のあるブナ科の樹木と見間違えやすいこともあります。 参考資料:山羊百科(中国語)https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒメツバキ/国立科学博物館ー琉球の植物データベース なお、イジュの白い花は、沖縄の古い民謡「辺野喜節(べのきぶし)」にも歌われており、人々の生活や文化の中でも身近な存在でした。 伊集の 木の 花やいじゅぬ きぬ はなや あん 清らさ 咲きゆいあん ちゅらさ さちゅい わぬも 伊集 やとて わぬん いじゅ やとぅてぃ  真白 咲かましら さかな (意味) 伊集の木の花は,あんなにもきれいに咲いている。私も伊集の木の花のように,真っ白にきれいに咲きたいものだ。

リュウジンオオムカデ

Scolopendra alcyona 和名:リュウジンオオムカデ中国語名:琉神蜈蚣英語名:Halcyon Giant Centipede原産地:沖縄島北部、石垣島、西表島、久米島、渡嘉敷島、台湾 本種は2021年4月に新種として記載されたもので(参考資料)、世界で3例目の半水棲性ムカデとして知られています。渓流環境に生息し、危険を感じると水中に潜ることがあり、テナガエビを捕食している様子も観察されています。 種小名の alcyona は、ギリシャ神話の風の神の娘アルキュオネー(Alcyone)に由来します。彼女は結婚後に幸せな生活を送りながらも、自らをゼウスとヘラになぞらえたことで神々の怒りを買い、カワセミに変えられたとされます。本種の歩脚の多くは青色を呈し、その姿がカワセミを連想させることから名付けられました。 また、和名の「琉神大百足」は琉球王国の神話に由来しています。あるとき、海上で暴れる龍神の耳にムカデが入り込み、激痛に苦しみながらもどうすることもできませんでした。そこへ鶏が現れ、ムカデをあっさりと食べてしまいました。この出来事以来、龍神はムカデと鶏を恐れるようになり、琉球王国時代の船には航海の安全を祈って、ムカデ旗や鶏の図を掲げる風習がありました。この話に登場するのは「龍神」ですが、日本語では「龍(リュウ)」と「琉(リュウ)」が同音であるため、漢字に「琉神」が使われています。

サキシマハブ

先島波布

Protobothrops elegans 和名:サキシマハブ中国語名:先島原矛頭蝮、先島波布、麗紋龜殼花、先島烙鐵頭英語名:Sakishima Habu原産地:八重山諸島(ただし与那国島および波照間島を除く)。沖縄島南部および中部では国内外来種。 サキシマハブの体長は約60〜120cmで、ハブと比べてかなり小型です。体色は褐色系で、個体差による濃淡の変化があります。毒性はハブの半分程度とされています。 1970年代、観光施設においてインドマングースとの対決ショーやハブ製品の開発のために、八重山諸島から沖縄島へと人為的に導入されました。1976年には、観光施設で飼育されていた100匹のサキシマハブが盗まれ、野外に放たれたことにより、現在では糸満市に定着した個体群が存在します。那覇市や名護市でも個体が捕獲されていますが、安定した個体群が存在するかどうかは不明です。また、沖縄島ではハブとサキシマハブの交雑個体も確認されています。

ヤエヤマカラスアゲハ

Papilio bianor 和名:ヤエヤマカラスアゲハ中国語名:翠鳳蝶、烏鴉鳳蝶(台湾)、碧鳳蝶(香港)英語名:Chinese Peacock Swallowtail原産地:台湾、中国、日本、朝鮮、ベトナム北部、インド、ミャンマー。日本では八重山諸島に分布。 本種は八重山諸島でよく見られる大型のアゲハチョウで、台湾や香港、中国などにも分布しています。幼虫の食草はミカン科の植物で、夜間は植物の上で休んでいることがよくあります。

クロカダゾウムシ

Pachyrhynchus infernalis 和名:クロカダゾウムシ中国語名:八重山球背象鼻蟲英語名:Yaeyama Pachyrhynchus weevils原産地:石垣島、西表島 本種は、日本国内で唯一分布が確認されているカダゾウムシ属(Pachyrhynchus)の種で、石垣島と西表島のみに生息しています。カダゾウムシ属は主にフィリピンの島々に分布し、台湾の蘭嶼や緑島にも複数種が確認されています。 この属の特徴として、上翅が癒合しており飛行できないことが挙げられます。近年、カダゾウムシ属がフィリピンから蘭嶼、緑島、八重山諸島へどのように拡散したのかについて研究が進められています。 多くのカダゾウムシ属の種は鮮やかな体色や模様を持っていますが、本種は模様のない黒色をしているのが特徴です。 関連研究:Tseng, H-Y., W-S. Huang, M-L. Jeng, R.J.T. Villanueva, O.M. Nuñeza and C-P. Lin (2017). Complex inter-island colonization and peripatric founder speciation promote diversification of flightless Pachyrhynchus weevils in the Taiwan-Luzon volcanic belt. Journal of Biogeography.

サキシマアオヘビ

Cyclophiops herminae 和名:サキシマアオヘビ中国語名:先島青蛇英語名:Sakishima green snake原産地:八重山諸島、宮古諸島 サキシマアオヘビは体長約50〜85cmで、灰緑色に近い体色をしており、頭部は小さめに見えることが多く、時に暗色の縦縞が見られることもあります。ミミズを好んで食べる傾向があります。幼蛇には横縞模様があります。

サキシママダラ

Lycodon rufozonatus walli 和名:サキシママダラ中国語名:先島紅斑蛇、赤鏈蛇沃氏亞種英語名:Sakishima Odd-tooth Snake原産地:宮古諸島、八重山諸島 アカマダラ(Lycodon rufozonatus) には2つの亜種があります:

ヤエヤマアオガエル

八重山樹蛙

Rhacophorus owstoni 和名:ヤエヤマアオガエル中国語名:八重山樹蛙英語名:Owston’s Green Tree Frog原産地:石垣島、西表島 ヤエヤマアオガエルの繁殖期は12月から翌年の4月までです。かつてはオキナワアオガエルの亜種とされていましたが、現在では独立した種とされています。石垣島では個体数が多く、繁殖期にはロードキルが頻繁に発生します。