オキナワイボイモリ

Echinotriton andersoni 和名:オキナワイボイモリ中国語名:沖繩棘螈英語名:Okinawa Spiny Newt原産地:沖縄島、渡嘉敷島 本種は沖縄県の県指定天然記念物であり、イモリ科の中で最も原始的な形態を持つ種の一つです。そのため、「生きた化石」とも呼ばれています。体の両側に肋骨が突出しているため、この名前が付けられました。個体数が少なく、密猟の危険もあります。 過去には「イボイモリ」と呼ばれていましたが、奄美大島と徳之島の個体群が新種 Echinotriton raffaellii(2022年)として独立したため、両種を区別するために、沖縄島のイボイモリは「オキナワイボイモリ」、奄美大島と徳之島の個体群は「アマミイボイモリ」と和名を変更しました。 参考資料:論文著者のウェブサイト 繁殖期に集まるオキナワイボイモリ この投稿をInstagramで見る Yanbaru Nature Guide Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 オキナワイボイモリミミズを食べる様子 この投稿をInstagramで見る Yanbaru Nature Guide Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 この生き物を観察したい場合は… 1~2月の「両生爬虫類ツアー」への参加をおすすめします! ※ 観察時の注意事項:イボイモリは光に非常に敏感です。希少な動物を保護するため、撮影時の強い光源は控え、動物の正面(目の方向)ではなく、上方からの光源を使用してください。撮影はできるだけ短時間で済ませるようにしましょう。

ヤンバルクイナ

Hypotaenidia okinawae 和名:ヤンバルクイナ中国語名:沖繩秧雞、山原秧雞、山原水雞英語名:Okinawa Rail原產:沖縄島北部 ヤンバルクイナの全長は約35cm、体重は約450gです。頭頂から尾羽にかけて濃いオリーブグリーン色、顔は黒で、目の後ろから首にかけて白いラインがあります。脚とクチバシは赤で、腹には黒と白のストライプ模様があります。1981年に正式に発表されるまで、やんばるの人々はヤンバルクイナを「アガチャー」(慌てん坊)や「ヤマドゥイ」(山の鳥)と呼んでいました。 ヤンバルクイナは国頭村の村鳥、国指定天然記念物(文化財保存法)、国内稀少野生動植物種(種の保存法関連法)、絶滅危惧種です。 ヤンバルクイナは主に昼行性で、昼間は食べ物を探したり、水辺で水浴びをしたりしますが、夜は天敵から逃れるために木の上で寝ます。しかし、飛べないヤンバルクイナがどうやって木に登るのでしょうか?ヤンバルクイナは丈夫な脚と非常に力強い爪を持ち、一歩一歩木に登ります。そのため、樹皮が深く裂けた琉球松やイタジイの巨木がヤンバルクイナの最も好む場所です。 「山原野生生物保護センター」で展示されているヤンバルクイナの骨格標本は、一般的な鳥類に見られる発達した胸骨や竜骨突起がありません。胸骨は胸筋が付着する部分で、胸骨の中央に突起している部分が竜骨突起です。竜骨突起は飛行に必要な大きな胸筋を支える役割を持っており、ハトなど長距離を飛ぶ鳥類では非常に発達しています。しかし、ヤンバルクイナの骨格を観察すると、胸骨が小さく、竜骨突起が突出しておらず、翼が体に対して小さく、脚が長いことがわかります。ヤンバルクイナの構造は飛ばずに地上を歩いたり、木に登ったりする生活に適応していることを示しています。 ヤンバルクイナの近縁種は太平洋の島々に分布しており、ヤンバルクイナの祖先は飛行能力のあるクイナだったと考えられています。さまざまな島に広がる中で、肉食性の捕食者がいない小島では飛べないクイナに進化しました。分布する無飛行のクイナは、独立して収束進化した可能性があります。(スライドの出典は講演資料) また、これらの太平洋の島々で絶滅したクイナの絶滅理由は、主に人間の文明の侵入によるもので、飛べないクイナも捕まえやすい美味しい食材となっていました。実際、沖縄南部の洞窟で約2万年前の地層からヤンバルクイナの化石が発見されています。現在、沖縄中南部のヤンバルクイナが絶滅した理由も、人間の生活圏の拡大によりその数が大幅に減少したことが考えられます。 ヤンバルクイナの食物にはミミズ、トカゲ、ドングリなどの植物の種子が含まれますが、一番好むのはカタツムリです!森の中でこのように割れた大きなカタツムリの殻を見つけたら、それはヤンバルクイナが食べた跡です。 さらに、ヤンバルクイナには専用の「カタツムリ叩き石」があり、研究によると、同じヤンバルクイナがカタツムリを同じ石で叩き、その周囲にはカタツムリの殻が散らばっています。そこはヤンバルクイナのキッチンのようです! ヤンバルクイナは地面に巣を作り、繁殖は3月下旬から6月にかけて行います。一度に3から5個の卵を産み、約3週間後に孵化します。生まれた雛鳥は全身黒で、親鳥が共同で育雛します。約2ヶ月後に成鳥と同じ色になり、成鳥後は独立します。 過去の統計データによると、ヤンバルクイナが交通事故に遭う月は繁殖期の5月と6月が最も多く、雛鳥の餌を探すために道に出る機会が増え、車に轢かれるリスクも増加します。また、事故が発生する時間帯は午前6時から8時が最も多く、この時間帯もヤンバルクイナの食物を探すピーク時です。いずれの月のどの時間帯でも、やんばるでは注意してゆっくり走行する必要があります。 もし怪我をしたヤンバルクイナ(または不注意で衝突した場合)を発見した場合、最も重要なのはすぐに「山原野生生物保護センター」(0980-50-1025)または「NPO法人 動物たちの病院沖縄」(090-6857-8917)に連絡し、担当者に発見場所を伝えることです。県道の場合は県道名称(例:70号県道)と地点(例:楚州)およびキロ数を知らせてください。 この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 この投稿をInstagramで見る Yanbaru Nature Guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 この投稿をInstagramで見る Soo Bîn-hiân(@siansiansu)がシェアした投稿 この生き物を観察したい場合は… 2月下旬~3月、7月~11月のヤンバルクイナツアーへの参加をおすすめします! ※ 観察時の注意事項:夜間にヤンバルクイナを観察することは、実際にはクイナの休息を妨げる行為です。強い光をできるだけ控え、撮影は手短に済ませてください。もしヤンバルクイナが木から降りて逃げようとする場合、それは強いストレスを感じているサインです。その場をすぐに離れないと、クイナはその生息地から移動してしまう可能性があります。

カラスバト

Columba janthina 和名:カラスバト中国語名:黑林鴿英語名:Black Wood Pigeon原産:中華人民共和国(山東省)、大韓民国、日本 本種には3つの亜種が存在する。 沖縄島でカラスバト(C. j. janthina)を観察するのは非常に難しく、近年は個体数が減少し、鳴き声を聞く機会も少なくなった。私自身も年に1回ほどしか見かけない。奄美大島にも同じ亜種が生息しており、この写真を撮影できたのは非常に幸運だった。地面に降りていた個体が、私が車を降りるとすぐに近くの枝に飛び移り、その瞬間を撮影することができた。 宮古島、石垣島、西表島、与那国島では、別の亜種であるヨナクニカラスバト(C. j. stejnegeri)を観察できる。 参考資料:Wikipedia

ヤエヤマハラブチガエル

Nidirana okinavana 和名: ヤエヤマハラブチガエル中国語名: 琉球琴蛙英語名: Yaeyama Music Frog原産: 石垣島、西表島 ヤエヤマハラブチガエルの鳴き声は、まるでハープを奏でているように聞こえ、とても特徴的です。主に夏季に湿地に穴を掘って繁殖します。観察時には、絶対に繁殖地に踏み込まないように注意が必要です。泥巣が壊れると繁殖が失敗するだけでなく、何度も踏みつけると地面が硬化し、穴を掘ることができなくなってしまいます。 私は運よく、繁殖期が終わった11月に道路上でヤエヤマハラブチガエルに出会いました。 本種の学名はかつて Rana psaltes とされていましたが、2017年にリュウキュウアカガエル(Rana okinavana)の模式標本が実は本種であることが判明しました。そのため、当時のリュウキュウアカガエルの学名(Rana okinavana)の種小名が本種に移され、現在の Nidirana okinavana となりました。一方、リュウキュウアカガエルには新しい学名が与えられました。参考資料:On the Brown Frogs from the Ryukyu Archipelago, Japan, with Descriptions of Two New Species (Amphibia, Anura) また、かつて台湾のハラブチガエル(豎琴蛙)と本種は同種と考えられていました。しかし、2025年に発表された研究により、台湾の個体群は石垣島・西表島の個体群よりも体が小さく、鳴き声も異なることが判明しました。そのため、台湾の個体群は新種 Nidirana shyhhuangi として記載され、その種小名 “shyhhuangi” は、台湾の両生類研究者である陳世煌(Shyh-Huang Chen)氏への献名です。なお、本種の中国語名は「琉球琴蛙」に改められました。参考資料:Description of a new music frog (Anura, Ranidae, Nidirana) critically endangered in Taiwan

ミヤコヒキガエル

Bufo gargarizans miyakonis 和名: ミヤコヒキガエル中国語名: 宮古蟾蜍英語名: Miyako Toad原産: 宮古諸島(宮古島、伊良部島、下地島、池間島、来間島) ミヤコヒキガエルは、中国とロシアに分布するアジアヒキガエル(Bufo gargarizans)の亜種で、南西諸島で唯一の原生種のヒキガエルです。繁殖期は9月から3月までです。また、ミヤコヒキガエルは北大東島、南大東島では国内の外来種となっています。

ミヤコヒバァ

Hebius concelarus 和名:ミヤコヒバァ中国語:名宮古腹鍊蛇英語名:Miyako Keelback原産:宮古島、伊良部島 ミヤコヒバァは宮古島、伊良部島に生息する固有種で、個体数は非常に少ない。本種は「国内希少野生動植物種」に指定されている。

ミヤコサワガニ

Geothelphusa miyakoensis 和名:ミヤコサワガニ中国語名:宮古澤蟹英語名:Miyako Freshwater Crab原産:宮古島 ミヤコサワガニは宮古島固有の淡水性カニで、甲幅は約3cm。現在知られている生息地は湧水がある4か所のみで、個体数は非常に少ない。さらに、生息地の破壊や、国内外来種であるヤエヤマイシガメ(Mauremys mutica kami)による捕食が原因で、個体数はさらに減少している。本種は「国内希少野生動植物種」に指定されており、捕獲や譲渡が禁止されている。

シリケンイモリ

劍尾蠑螈

Cynops ensicauda 和名:シリケンイモリ中国語名:劍尾蠑螈英語名:Sword-tail Newt原産:沖縄諸島、奄美諸島 シリケンイモリの種小名「ensicauda」は、剣(ensis)と尾(cauda)を意味しています。本種は沖縄諸島と奄美諸島に分布し、異なる亜種が存在しますが、沖縄諸島と奄美大島の間にある徳之島には分布していません。 シリケンイモリは通常、静水域や流れが穏やかな浅い水たまりで見られますが、陸上でも活動し、特に雨後には道路に現れやすく、ロードキルの被害を受けやすい種です。冬に繁殖期を迎え、雄は尾をS字に振って求愛し、雌は雄の精莢を受け取り、水生植物の葉の間に産卵します。 オキナワシリケンイモリ(Cynops ensicauda popei): オキナワシリケンイモリは阿嘉島、沖縄島、慶留間島、瀬底島、渡嘉敷島、渡名喜島、浜比嘉島に分布しています。無地の黒い個体の他に、約70%の個体に多少の黄色斑(金箔)が見られ、奄美亜種よりも高い割合で見られます。 雄が尾をS字に振り求愛行動を示す この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 沖縄樹蛙の卵を食す この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 水草の間に産卵 この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 ヤゴが捕らえたオタマジャクシを奪う この投稿をInstagramで見る Yanbaru nature guide – Wanyu(@yanbaru_wanyu)がシェアした投稿 アマミシリケンイモリ(Cynops ensicauda ensicauda): アマミシリケンイモリは奄美大島、請島、加計呂麻島、与路島に分布しています。体色は単色のものが多く、一部に背面に赤色の縦線があり、稀に金色の斑点もありますが、沖縄亜種に比べて小さく、まるで金粉のようです。また、奄美亜種の背中の縦線は沖縄亜種と比べて目立ちます。

キノボリトカゲ

Diploderma polygonatum 和名:キノボリトカゲ中国語名:琉球龍蜥英語名:Ryukyu Tree Lizard原産:原名亜種は奄美群島、沖縄諸島、先島亜種は宮古諸島、八重山諸島、与那国亜種は与那国島 キノボリトカゲは、以前はJapalura属(南アジアに分布するキノボリトカゲ属)に分類されていましたが、2018年の研究でDiploderma属に変更されました。 参考資料:攀木蜥蜴學名的重大修訂 キノボリトカゲは複数の亜種を含み、台湾のキグチキノボリトカゲもその一つです。 オキナワキノボリトカゲ(Diploderma polygonatum polygonatum): 分布:沖縄諸島、奄美諸島。雄は全長約25㎝、雌は約20㎝で、雄には鮮やかな青緑色の個体が多く見られます。沖縄でよく観察され、本土でも飼育後に放逐されたものが愛知県浜松市で発見されています(2023年)。 参考資料: サキシマキノボリトカゲ(Diploderma polygonatum ishigakiense): 分布:宮古諸島および八重山諸島の石垣島、西表島、小浜島。雄は全長約20㎝、雌は約17㎝で、体色は褐色が主体。宮古島では外来種である二ホンイタチ(Mustela itatsi)による捕食で数が減少しています。 ヨナグニキノボリトカゲ(Diploderma polygonatum donan): 分布:与那国島にのみ生息。雄の体に白斑があり、雌には緑色の鱗が特徴。与那国キノボリトカゲの口腔内は肉色です。

ヤエヤマヤマガニ

Ryukyum yaeyamense 和名:ヤエヤマヤマガニ中国語名:八重山琉球蟹英語名:Yaeyama Ryukyu Crab原産:石垣島、西表島、小浜島 Ryukyum属は琉球群島固有の属で、現在はヤエヤマヤマガニのみが確認されています。本種は沖縄県の希少野生動植物に指定されており、棲地の破壊や密猟によって数が減少しています。背甲は通常黄褐色で、幅は約44㎝、日本で最大のサワガニです。環境の整った林道ではよく見られますが、近づくとすぐに洞に戻ります。