サカモトサワガニ

Geothelphusa sakamotoanus

和名:サカモトサワガニ
中国語名:坂本澤蟹
英語名:Sakamoto Freshwater Crab
原産:沖縄島、奄美大島、徳之島、喜界島

サカモトサワガニは、沖縄島北部だけでなく中南部にも生息しており、奄美大島、徳之島、喜界島にも分布する琉球列島のGeothelphusa属で最も広範囲に分布する種です。

奄美群島の山や里のカニガイドブックによると、サカモトサワガニの体色は多様で、深紅色、淡黄色、青灰色などが見られます。特徴として、背甲の前縁に鋸歯状の突起があり、背甲は約4センチメートルで光沢があります。

実際の観察では、沖縄島の個体は徳之島や奄美大島のものとは外観が異なるように感じられます。沖縄島の個体群はほとんどが黄褐色で、体格も徳之島や奄美大島の個体群に比べて小さく、背甲も他の地域ほど光沢がありません。このため、分類上でさらなる研究が必要かもしれません。

ところで、「サカモトサワガニ」の名前の由来となった坂本氏とは一体どの坂本(または坂元)氏なのでしょうか?1904年の発表論文では、採集者として「Mr. F. Sakamoto」が挙げられていますが、その正体が気になります。
Rathbun, M. J., 1904. Les crabes d’eau douce (Potarnonidae). Nouv. Arch. Mus. Hist. Nat. Paris, ser. IV, 6 : 206.

2022/8/19 国頭村:稚ガニを抱きかかえているメス
2022/5/21 徳之島
同上写真。背甲の縁に鋸歯状の突起あり
2023/5/4 国頭村:全体的に黄褐色で、背甲に光沢は少ない
2023/5/4 国頭村
2024/7/18 奄美大島
2024/9/21 奄美大島:青灰色の個体
2024/9/21 奄美大島:稚ガニを抱きかかえたメス、片脚が欠けている