世界自然遺産

やんばる

やんばる(漢字表記は山原、アルファベット表記はYanbaru、または沖縄方言でYambaru)は地名ではなく、沖縄の北部地域の森林環境のことです。特に北部三村(国頭村、大宜味村、東村)のうち、「マングース北上防止柵」が設置されている塩屋湾から平良湾より北の地域は、より森林環境が保全されています。希少種を守るために、その中核となる森林地域は2016年9月15日に「やんばる国立公園」として指定されました。

やんばるの森林構成は、ブナ科のイタジイ(Castanopsis sieboldii)が森林全体の生物量の70%を占め、生態系の食物連鎖においても重要な一部です。イタジイの椎の実はヤンバルクイナ、リュウキュウイノシシ、サワガニなどの餌になります。繁殖期のノグチゲラはイタジイに樹洞を作り、雛を育ちます。一方、繁殖期が終わるとフクロウやケナガネズミは空いていた樹洞を利用します。また、樹幹中心部が腐朽すると、それがヤンバルテナガコガネの幼虫の成長基質となります。そのため、イタジイの巨木が成長した森林だけがヤンバルテナガコガネを育ちます。やんばる地域の生物同士の相互関係は、その生息地を保護する重要性を浮き彫りにしています。

徳之島

徳之島は沖縄島と奄美大島の間に位置し、中部と北部はイタジイの森林環境であり、南部は石灰岩によって形成された鍾乳洞地形があり、特別な地質景観が見られます。徳之島の生物相は奄美大島に類似しており、また、オビトカゲモドキ(Goniurosaurus splendens)、トクノジマトゲネズミなど、徳之島でしか見られない種も生息しています。

奄美大島

奄美大島の最高峰、湯湾岳は標高694mであり、高湿度の雲霧帯が形成しやすいため、多くの著生植物が見られます。奄美大島はかつて沖縄島の北部と陸続きであるため、沖縄島と近い生物群持っていますが、最近の親緣関係の研究では、奄美大島の種を沖縄島とは異なる亜種や別種として分類処理されます。

例えば、かつてはオキナワイシカワガエル(Odorrana ishikawae)として知られていた種が、現在ではアマミイシカワガエル(O. splendida)と新種になります。奄美大島と徳之島の分離歴史は比較的短いため、両島の生物相は似通っていますが、ルリカケス(Garrulus lidthi)、アマミトゲネズミなどの種は奄美大島でしか見られません。

西表島

西表島の地質は主に砂岩であり、多くの海岸線には紅樹林が広がっています。西表島はまた、日本で最も多様な紅樹林樹種を有する島でもあります。島全体には原生林が豊富に広がり、多くの滝が見られます。西表島で最も有名な生物はイリオモテヤマネコであり、個体数はわずか150匹で非常に希少です。他にも、ヤエヤマセマルハゴカメ(Cuora flavomarginata evelynae)、サキシマハブ(Protobothrops elegans)など、中国南方や台湾と類似した種も西表島に生息しています。

外來種

世界自然遺産の環境課題

路殺
路殺

ロードキル

島々は一般的に公共交通機関が不便で、世界自然遺産に指定された後、観光客が増加し、レンタカーも増えました。山の道路には信号がなく、分岐が少ないです。車を運転する際にはついついスピードを出してしまって、小動物をロードキルさせてしまいます。特に雨の後は道路上にイモリやカエルなどの両生類が現れやすく、これらの小動物を食物とする蛇や鳥、さらにはイリオモテヤマネコなども道路に出てきて、ロードキルがロードキルを呼ぶという状況です。西表島ではイリオモテヤマネコが路上で死体を食べるのを防ぐために、ロードキルの死体を路面から森に移動します。しかし、問題の根本的な解決策は、小動物をロードキルしないように、速度制限を守って安全運転することです。

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オーバーツーリズムへの対策

これらの4つの島が世界自然遺産に登録されると、観光客も急増しました。自然環境への無制限な観光は環境破壊につながる可能性があり、逆に生態系の保護には寄与しません。そのため、生態旅行は適切に制限され、現地の自然環境に詳しいエコガイドと同行するべきです。現在、各地域では適格なガイドに資格を発行しており、一部の地域では資格を持ったガイドでないと入域が許されない場所もあります。また、事前に許可を取得が必要な地域もあります。

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