Candidiopotamon okinawense
和名:オキナワミナミサワガニ
中国語名:沖繩明溪蟹
英語名:Okinawa Candidiopotamon Freshwater Crab
原産地:沖縄島固有種
ミナミサワガニ属(Candidiopotamon)は台湾および中琉球の一部の島々にのみ分布しており、既知種は5種です。そのうち沖縄県には3種、台湾には2種が確認されています:
- Candidiopotamon kumejimense(クメジマミナミサワガニ):久米島に分布
- Candidiopotamon okinawense(オキナワミナミサワガニ):沖縄島に分布
- Candidiopotamon tokashikense(トカシキミナミサワガニ):渡嘉敷島に分布
- Candidiopotamon rathbuni:台湾の西部に分布
- Candidiopotamon penglai :台湾の東部に分布
沖縄島に分布するオキナワミナミサワガニは非常に獰猛な性質で知られており、多くのカエルや、時には他のサワガニさえも捕食することがあります。生活史は同じサワガニ属(Geothelphusa)と同様で、海へ戻らずに陸上で生活を完結させ、少数の大型卵を母ガニが保護するという繁殖戦略をとっています。




なお、ミナミサワガニ属(Candidiopotamon)の属名には台湾と深い関係があります。台湾に分布する Candidiopotamon rathbuni は1914年に新種記載され、台湾をタイプ産地とする初のカニの一種です。過去には「清渓蟹」と呼ばれていましたが、実際には「Candidiopotamon」という属名は模式種の産地である日月潭の古名「Candidius Lake」に由来します。「清渓」という名称は中国の研究者による地名の誤訳に基づくものです。
では、日月潭の旧称「Candidius Lake」とは何か?それは1627年に台湾に渡ったオランダの宣教師ジョージ・カンディディウス(George Candidius)に由来します。彼は台湾原住民シラヤ族の風俗を記録した人物であり、その功績を称え、1873年に来台したウィリアム・キャンベル(William Campbell)牧師が、日月潭を「干治士湖(Candidius Lake)」と命名しました(参考資料)。
中国語の通称「明渓蟹(ミンシーガニ)」は、「日」「月」を合わせて「明」という漢字に置き換えたもので、漢字の巧妙な使い方が反映されています。